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消防団は水防訓練に参加する必要ある?

年度初めの消防イベントの多さにうんざりしてきたロレンツィオです。

みなさん水防訓練って知ってますか?

大雨などで河川の堤防が氾濫しないようにするための訓練のことを言います。

堤防にブルーシートを貼ったり、土のうを大量に積んだり、近くの木を切って川に流して堤防の侵食を防ぐことを目的とした工法を訓練します。

 

水防訓練は必要ない!

私の所属地域の消防分団は水防訓練は必要ないんです。

なぜなら、河川に堤防がないんですもん^o^

水防訓練は堤防決壊を防ぐ為の訓練しかしません。

私達がどんなにスキルアップしても、堤防がなければ覚えた技術を活かすことが出来ませんよね。

堤防があっても訓練した工法は水害時に役に立たない場合がほとんどです。

訓練する工法が現実的でない

木流し工

参照 国交省HP

長さ約5メートル、末口約9センチの雑木(例えば枝振りの良い針葉樹)

雑木の枝に土のうを数個縛り付け、堤防に木杭を打ち込み雑木と木杭をロープで繋ぎ川の側に流します。

これにより川の流速を弱めることが出来るそうです。

私の住む地域のはるか下流の堤防がる河川は川幅が100メートルを超えます。

このように広い川に5メートルの木を少し流したところで焼け石に水です。

そもそも木流しに使える木が都合よく手に入りません。

高さ約5メートル、直径約10センチの木となると雑木ではなく、庭などに植えてある木を使うことになります。

造園屋さんから買えば一本数万円から十数万円する木を効果があるかわからない工法の為に切らせてくれるか疑問です。

近くに竹やぶがあれば最高ですが、堤防が造られているところは街中になるので整備が進んでいて、竹林などなくなっています。

高さ5メートル直径約10センチの針葉樹の杉やカラマツは植えて数年の木です。

樹齢数十年の杉やカラマツを使うなら、1本の高さが15メートル以上に伸びてチェーンソーを使用しなくてはなりません。

遠くから運ぶにしても5メートルの木となると軽トラでは困難で最低1トントラックか2tダンプが必要になります。

木流し工はごく限られた条件でしか効果がなく、資材の準備などを考慮すると木流し工は使用することはないでしょう。

積土のう工

河川の増水で川の水が堤防を越えないようにする目的の工法です。

堤防を越えないようにするには最低でも数十メートルは土のうを積まなくてはなりません。

土のう一袋のサイズが幅40〜50センチ、高さ15〜20センチくらいです。

延長100メートル高さ60センチの堤防かさ上げをしようとすると土のうを2〜3列で並べる必要があります。

土のうを1500個以上作り積まなくてなりません。

これも現実的ではないです。

シート張り工

河川側の法面侵食崩壊を防ぐためにシートを張る工法です。

シートの上の方にある白い線が水面の想定です。

勾配の緩い法面の水中にシートを張ることが果たして上手く出来るのか、ましてや河川が増水してる時にこんなこと出来ると思いますか?

河川の増水時に出来ること

河川が増水している時に消防団が出来ることは、橋の封鎖や住民の避難誘導です。

土嚢を積んだり、杭を打ったりするのは建設業の作業員がプロです。

そのプロの建設業者でさえ現場の河川が増水し氾濫するのは防げずに避難をします。

状況判断が的確で最善を尽くせればなんとかなる事もあるかもしれません。

しかし、それは1,000回のうちの数回の確率だと思います。

そのうちの数十〜数百回の確率で死傷者が出る可能性があります。

ですから、死傷者がゼロにできるスキルが無いうちは地域住民の避難が最善の選択になります。

 

年に一度の訓練でどうにか出来るわけがない

そのために訓練をするという人がいますが、年に一度の訓練でどうにかなるくらいなら、とうの昔に河川の氾濫は無くなっています。

自然災害は規模が大きく人力作業がメインの消防団にどうこうできるレベルではないのです。

小さな河川であればそもそも堤防などなく水防訓練で行うような工法は必要ありません。

河川の氾濫や土砂災害にときに結果論で「変な匂いがした」「いままで聞いたことのない川の音だった」などと言いますが、救護中などにそんな不確かな感覚的で的確な判断が出来るわけがないです。

危険地帯の監視などは消防団のぺーぺーがやらされたりします。

本部の人間は安全な場所で素人に毛が生えた知識で指示を出し危険な現場にいくのはわれられです。そんな人にみなさん命を預けられますか?

消防団員の「自分の地域は自分で守る」意識は非常に大切ですが、スキルが伴っていない場合はその気持ちが裏目に出て救護被災につながる可能性があります。

天災時に消防団として何ができるか考える

大地震や河川の氾濫、土砂災害などが昭和の時代より頻繁に起こるようになり、住民の防災意識が高くなるにつれて消防団に求められるものが大きくなってきているのは事実です。

ですが私たち消防団は人数が減り高齢化が進んで疲弊してきています。

それでも地域を守るために動かなくてはいけません。

ではどうするべきか?

  1. 自分の地域に起こりうる災害に集中する
  2. 最善を尽くすためあらゆる事態を想像する
  3. 自分たちでできる現実的なことを考える
  4. できないことはきっぱり諦める
  5. 一つでも出来ることを増やせるようちょっと頑張る
  6. 地域の行事イベントに参加し住民の信頼を得る

ざっと上げて簡単に出来ることはこのぐらいでしょう。

自分たちの地域で起こらない災害は対応する必要がありません。

頻繁に起こりうる災害を中心にどのような災害が起こりどのくらいの規模で発生するかを考えます。

その時に自分たちの消防団の持つ資機材と人数、スキルでどこまで対応可能か考えておくことでシュミレーションができます。

今現在できないことを把握し、出来ないことに時間を使うより出来ることに集中すれば最善を尽くせるはずです。

出来ることを増やせるように目標をもって少しずつスキルアップの為に頑張ることで対応可能な災害が増えるはずです。

住民避難の際には、なかなか避難指示に応じてくれない人もいます。よく知らない人よりも顔見知りの人からのお願いのほうが指示に従いやすいです。

そのためには日頃から消防団としてだけではなく、一人の人間としての信用がなければ人は動いてはくれません。

災害時に慌てふためいていては非難を迅速に行えません。

災害時には想定外のことが非常に多く発生しますから日頃か想定外の想定をして自分たちが何ができるかを考えて話し合い災害対応能力を少しでもあげておくことが必要ではないでしょうか。

まとめ

消防団の合同訓練を否定するつもりはありません。

するからにはスキル向上につながるような合理的な訓練にしてほしくてかきました。

地域の状況に応じてより実践的な訓練をし少しでも被害を少なくできるように消防団員として頑張りましょう。

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